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レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像 [アート]

 今日は、朝から「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」という展覧会を観に、東京国立博物館に行って来ました。

 この展覧会のメインは、ダ・ヴィンチが20代の前半に描いたとされる、フィレンツェにあるウフィツィ美術館所蔵の「受胎告知」が、日本で始めて公開されるというところ。私は2年前、イタリアに行った時にこの「受胎告知」をウフィツィ美術館で観て来ましたが、せっかく日本に来ているんだから・・・ということで、行って来ました。今回「受胎告知」が展示される東京国立博物館本館特別5室(通称「特5」)は、「モナ・リザ」、「ツタンカーメン」、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など、世界の至宝を飾ってきた歴史的場所です。

 東京国立博物館の開館時間は、朝の9:30です。東京の美術館って、土日には行列ができるくらい混雑するので、朝一で行こうと思ったのですが、家を出るのが少し遅くなってしまい、上野に着いたのが10:00でした。急いで美術館に向かいましたが、時すでに遅し。入館まで40分の待ち時間、つまり長~い行列が、すでにできていました。しかもこの展覧会、第一会場と第二会場に別れているのですが、第一会場に入るのに、40分なんです。第一会場の展示は、「受胎告知」一枚のみ。つまり、「受胎告知」を観るために、40分並ぶわけです。仕方なく私も並び、40分後に会場に入ることができたのですが、まったくゆっくり観れるわけではなく、大混雑の会場で、なおかつじっと立ち止まって観ることができるのは、遠くからだけ。近くで観ようとすると、立ち止まってはいけないと注意される。人と人にもまれて、ゆっくりと鑑賞することもできず、もうしんどくなって第一会場を出ました。

 すると、現在「鳥獣人物戯画」が公開されているということで、同じチケットで入れるので観て来ました。ちょうど今学校で絵巻物の授業をしており、「鳥獣人物戯画」も紹介しているので、自分の眼で観ておこうと思ったんです。ダ・ヴィンチの会場とはうってかわって人がまばら。ゆっくりと鑑賞することができました。しかも一番前で。いつも思うことなんですが、どうして日本人は西洋の絵画が好きなんでしょう。日本人なのに、日本の文化に興味がないのはどうしてなんでしょうか。ヨーロッパの名だたる美術館の作品が日本に来た時には大行列。しかもそんな展覧会、その美術館の一軍の作品が来るわけないんです。だって、良い作品ばっかりもってきたら、その期間その美術館はどうするんですか。人を呼べなくなります。この間やっていたオルセー美術館展も、日本まで来ているのなんて二軍です。もしも一軍が来ていたとしても1枚か2枚。多くは二軍です。それなのに大行列。でも、日本画の展覧会なんかはそんな行列はできません。西洋を東洋よりも優位に考える国民性、これがこんなところにも見られるなぁと感じました。

 そして向かうは第二会場。第二会場では、ダ・ヴィンチがどんなことを考えていたのかということを、模型や映像を使って紹介するという展覧会になっています。ダ・ヴィンチの作品が飾られているわけでもなく、ただ模型と映像、そして資料展示。それなのに、大混雑。ゆっくりと近くで説明を読んだりすることなんてできません。今回私は、美術館で500円を出して音声ガイドを借りていたので、それを聞きながら遠くから見るだけ。でも、なかなか面白かったですよ。あらためて感じたことは、ダ・ヴィンチという人は、画家でもなんでもなくって、学者なんだということ。

 彼の興味が、絵画だけでなく、物理学や解剖学、天文学、建築学など、多岐に渡っていたということは周知の事実です。完成された作品は、生涯で十数点。しかし、ダ・ヴィンチは膨大な量の手稿を残しています。あの有名な鏡文字で書かれた手稿です。ダ・ヴィンチは、自分の考察をこの手稿に残しています。10代でヴェロッキオという人の工房に入った彼は、めきめきと天才の頭角をあらわします。彼の興味は絵画だけにおさまらず、様々な事象について考察するのです。例えば、人体の比率、内臓を含む人体の構成、鳥が飛ぶのはどうしてか、見上げるほどの彫像を一度に鋳造するにはどうすればいいか、遠いものはどのように見えるか、輪郭線の存在について、波紋の広がり方、重力について、などなど・・・彼の興味は、この世の中で起こること全てに及ぶのです。つまり、彼は学者としてこの世の中のことについて考察し、実験し、そこでわかったことを絵画にしてまとめるのです。ダ・ヴィンチのことを万能の天才と呼ぶ人も多いですが、まさにそう。ルネサンスの時代に、ここまで考えていることが凄い。そして、それを表現したものが美しいからもっと凄い。「真実は美しい」ということ。ますますダ・ヴィンチに興味をもちました。もっと色んな本を読み、ダ・ヴィンチが考えたことを知りたくなりました。

 1974年4月20日、「モナ=リザ」が、日本で初公開されました。そして2007年3月20日、「受胎告知」が、日本で初公開されました。どちらの展覧会も長蛇の列。ウフィツィ美術館やルーヴル美術館で観る方が、ゆっくりじっくり観ることができることは事実です。正直、「受胎告知」の印象なんて、ほとんど残っていません。しかも、頭にくるほどうるさい若者も多く、ムッとしました。「こんなに描くなんて、よっぽど暇なんだなぁ!」と、絵の前で大声で叫んでいるお前!馬鹿じゃないか?あぁ、休暇をとって、平日に行けば良かった。


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コメント 2

さらぽん

 こんばんは,お邪魔いたします。
 私も今日(昨日)東博に行って来ました。
 すごい人でしたねぇ。
 『受胎告知』はあっさりあきらめました。
 今日のお目当ては大講堂でのセミナーだったので。
 
 表慶館に新コーナーができていましたね。
 今度はそこを探検しに行こうと思います。
 
by さらぽん (2007-04-23 00:55) 

みらの

さらぽんさん
 「受胎告知」、私は一番混む時間に行ってしまったみたいです。HPで、混む時間予想が載っていて、夕方とかは並ばないでも観れるようですよ。私もゆっくり観たいので、もう一回行ってみようかなぁなんて思っています。
 セミナーなんてあったんですね。知りませんでした。「ダ・ヴィンチコード」以来、ダ・ヴィンチ人気は高くって、様々な角度からダ・ヴィンチを解剖してくれるので、それが楽しいです。そのセミナーも、興味あるなぁ。私も聞きたかったです。
by みらの (2007-04-24 23:53) 

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