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若冲展~相国寺承天閣美術館~ [アート]

 先週の金曜日、休暇をいただき、木曜日の夜から実家に帰っておりました。目的は、京都の相国寺で行われている「若冲展」を平日に観に行くため。

 伊藤若冲という画家は、江戸時代に活躍した画家ですが、ここ10年ほど前から、日本ではかなり人気の画家として認識されてきています。昨年東京で行われた「若冲展」も、ものすごい人気で、入場するのに並び、入場した後も芋洗い状態で観たことを覚えています。今回の展覧会は、若冲の代表作ともいえる「動植綵絵」が一同に公開されるという展覧会。私は若冲が大好きで、去年この情報をつかんでから、とても楽しみにしていた展覧会です。しかし、かなり多くの人が押しかけるであろうという予想から、平日のしかも朝一で行こうと思い、わざわざ休暇をとって京都まで出かけたわけです。人が少ない中、ゆっくり観たいと思ったんです。

 しかし、私の予想は覆されました。平日、しかも朝から雨がどしゃぶり、そして朝から行ってるのに、もう入場する時に並びました。しかし、列も少なかったので大丈夫かなぁと思いきや、中で40分くらい並びました。絵を観るのも、押し合い圧し合いで、最前列で観ようと思うと、かなりの順番を待たなくてはいけません。もう、疲れて疲れて・・・。人は多いし、まわりのおばさんたちはうるさいし、平日だから空いているだろうという予想の中で行ったので、そのギャップにイライラしまくってしまいました。あらためて、若冲人気を思い知りました。しかし、やはり素晴らしい展覧会だったので、人が集まるのもわかる気がします。

 展覧会の構成としては、ほとんど全部の作品が若冲作。多くの展覧会が、メインの作品で客を呼び、それ以外の作品はイマイチで、そして95%は知らない作品ばかりという構成になっています。しかしこの展覧会は違う。若冲の水墨画と着彩画の二部構成になっており、どれも見応えのある作品ばかりでした。まず前半の水墨画ですが、鹿苑寺(いわゆる金閣寺です)の内部の障壁画を若冲が手がけており、その内部を再現するという方法で展示されています。ふすま、壁などに描かれた若冲の水墨画。なんと贅沢な部屋なのでしょう。そして後半の「動植綵絵」。これが、もう素晴らしい。めまいがするほど素晴らしかった。

 「動植綵絵」は、現在は宮内庁が管理していますが、もともとは相国寺に若冲が寄付したものでした。当時の相国寺は若冲のパトロンであり、若冲は自分とその家族の永代供養をお願いして、「動植綵絵」30幅と釈迦三尊像3幅の合計33幅を寄付しました。しかし明治に入り、廃仏毀釈により相国寺は寺を存続させることの危機に陥り、京都府知事のすすめで、宮内庁に「動植綵絵」をあずけたのです。そして宮内庁は相国寺に当時のお金で1万円を払った。このお金は、現在の金額で言うと数百億の価値があるそうです。そしてそのお金で寺を維持することができた。つまり、相国寺は若冲のおかげで現在の寺を維持できているわけです。だから、現在でも毎日のお経の中には若冲の戒名を含んであげているそうです。簡単に言うと、国は若冲の傑作を買い上げたわけですね。そして宮内庁が管理する御物となったわけです。まぁ、宮内庁が管理していたからこそ、今まで離散せずに日本に留まっているとか、管理がいいので色褪せが少なく当時の色彩を保っているとか、いろいろといいこともあるようですが、なんだか納得できないものを感じるのは私だけでしょうか。しかし、国の宝ですから、日本でこうして観られるということを良しとしましょう。そして、釈迦三尊像の方は相国寺に残り、今回120年ぶりに宮内庁から「動植綵絵」が相国寺に帰ってきて、若冲が一連の作品だと考えて創った33幅の絵画が再会することができたのです。若冲は禅に関心をもっていた人で、草木や動物など全てのものにはいのちが存在すると考えていた人です。だからこそ、釈迦三尊像のまわりに30幅の「動植綵絵」を配置し、若冲の考えを表現したものです。

 しかし、この「動植綵絵」・・・本当に素晴らしいんです。斬新な構図、美しい色彩、精密な観察で丹念に描き込まれたモチーフ、正確で高い技術、江戸時代の人であるとは思えないセンス・・・もうまさに若冲の色彩の洪水に巻き込まれる感覚です。いつまでも観ていたい・・・。そんな感覚でした。人が多すぎて疲れたので、ゆっくり観ることはできませんでしたが、あらためて帰ってから図録で観ました。観れば観るほど素晴らしい。久しぶりに、素晴らしい展覧会でした。

 やっぱ若冲好きだ・・・。

     

群鶏図         池辺群虫図     雪中錦鶏図     棕櫚雄鶏図    紫陽花双鶏図

 最後に、昨日学校内部関係の記事を下書きに入れました。ほとぼりがさめたら、また公開したいと思います。申し訳ありません。


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