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男鹿和雄展 [アート]

 今日は、東京都現代美術館(MOT)で行われている、「男鹿和雄展」へ行ってまいりました。

 わざわざ休暇をとって出かけたのは、今日は現代美術館の行っているスクールプログラムといって、教員対象のプログラムがあったからです。まずは1時間ほどの講習会。ここでは、ジブリ美術館の学芸員の方がいらっしゃって、アニメーションができるまでを説明してくださいました。私は大きな勘違いをしていました。アニメって、普通の映画と同じく「撮影される」ものだったんですね。つまり、カメラワークも必要であったということです。今までアニメって、ヒトコマヒトコマを撮影し、それを連続して流すことにより動いて見えるというものだと思っていたんです。この概念は、基本的には間違ってはいないと思うのですが、でも違ったんです。アニメーションで必要なものは、セル画と背景画。私はこのセル画に対してのイメージを、背景画にももっていたのです。例えば、「もののけ姫」でサンが動物に乗って山を駆け下りるシーン。これには、縦に長い背景画が使われています。まるでサンが本当に山を駆け下りているように見せるために、縦に長い背景画を使って、セルでサンを駆け下りさせるわけです。つまり、セル画と背景画はまったく別物なんです。「魔女の宅急便」でキキとトンボが自転車の二人乗りをするシーン。ここでは、横に長い背景画が使われているわけです。つまり、長い背景画の前でカメラを横に流す(もしくは背景画を動かす)ことによって、横に動いていたり縦に動いていたり見えるというわけです。これは、私にとっては「目からウロコ」状態。なるほど、映画じゃないか!という感じです。ひとつの映画で背景画は約1000枚。「もののけ姫」のような大作になると、1600枚の背景画が描かれているようです。男鹿和雄さんは、これらのジブリ作品の背景画を描いていた人です。

 正直上手。ポスターカラーを使っているようなのですが、ただのポスターカラーでここまでの表現ができるのか・・・と思いました。しかし、アニメの背景画ですから、ファインアートとはまったく別物。的確な説明、無駄のない表現・・・そうとう筆が達者な人です。しかし、絵を見て感動するかといえば、それは違う気がする。日本の風景など、ある意味の郷愁を誘うし、実際に巧い。巧い絵を見たという感じ。しかし、これはこれでいいのではないか。これは新しい表現なのではないかとも思います。「ジブリの絵職人」という肩書きがついていましたが、まさしく「職人」なんです。芸術家ではない。多くの背景画を描く人の指針となる背景画を描くわけですから、家の屋根は何でできているのか、窓の形はどうか、はたまた家の釘の位置までもを、的確に決めておかなくてはいけないわけです。だからこそ、「明確な説明」ができていると感じるわけです。これは、素晴らしい職人さんである証です。宮崎駿監督の考えを視覚的に表現し、そのイメージを実現化させることができているわけですから。芸術家ではないけれど、男鹿和雄さんが素晴らしい職人であることは間違いありません。

 さて、宮崎駿監督という人は、脚本を書かない人だそうです。脚本を書かないで、そのまま絵コンテを描くことで、それを脚本代わりにする人だそうです。高畑勲監督は、きっちりと脚本を書く人なのだそうですが、この違いは宮崎駿監督は絵が描けて、高畑勲監督は描けないということだそうです。高畑勲監督には優秀なアニメーターがつき、高畑勲監督のイメージをアニメーターが表現するそうです。そしてびっくりなのは、宮崎駿監督の場合、絵コンテが出来次第、背景画やセル画の制作に入るそうです。だから、背景画やセル画を作っているのに、まだ話のラストがわからないというスリリングな日々が送られるそうです。現在もそのような日々が送られているとおっしゃっていました。つまり、宮崎駿監督の新作が制作されているということです。「崖の上のポニョ」というその新作。「ハウルの動く城」以来、4年ぶりの作品だそうです。来年の夏に公開。あ~楽しみだなぁ。

 ちなみに、私の好きな宮崎作品は・・・
  1.「ルパン三世カリオストロの城」
  2.「天空の城ラピュタ」
このふたつは、絶対的です。次はというと、「千と千尋の神隠し」か「魔女の宅急便」か・・・。今日、男鹿和雄展に行き、触発されたので、もう一度映画を見なおしてみようかなぁ。


   


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